福井で住宅リフォームに携わっている、一級建築士の漆﨑隆一です。
リフォーム会社を選ぶ時、工事費用はもちろん、施工事例や口コミなども気になりますよね。
今ではホームページを見れば、いろいろな情報が手に入ります。便利になったものです。
ただ、それだけで自分の家を安心して任せられるかどうか、判断するのは難しいところがあります。
というのもリフォームは新しい商品を取り付けるだけの仕事ではないからです。
今ある住宅の状態を調べ、必要な工事を考え、
時には工事を始めてから分かった問題にも対応しなければなりません。
そこで会社選びの際に注目して頂きたいのが、現地調査です。
何を確認し、どのような理由で工事を提案しているのか。
そこには、その会社の仕事の進め方がよく表れます。
□現地調査は、寸法を測るだけの時間ではありません
例えば、古くなったお風呂を新しいユニットバスに交換する工事。
浴室の大きさを測り、希望する商品が設置できるか確認することはもちろん必要です。
が、それだけで工事の内容が決まるとは限りません。
浴室の出入口に段差はないか。
隣の洗面所の床は傷んでいないか。
窓や給排水管はどの位置にあるのか。
こうしたことも工事の内容を考える材料になります。
特に洗面所の床がフカフカしている場合には、
表面の床材だけが傷んでいるのか、それとも下地まで傷んでいるのかが気になります。
下地が傷んでいるなら、その補修も考える必要があります。
反対に、状態がよければ使える部分を残して工事する方法もあります。
同じお風呂の交換でも住宅によって見積金額が違う理由の一つは、
こうした工事内容の違いにあるんですね。
現地調査ではどこを確認し、何が分かったのか。
その説明を聞いてみるとよいと思います。
リフォーム会社を選ぶ際の確認事項については住宅リフォーム推進協議会の「リフォーム事業者の選び方」も参考になります。
□傷んでいる場所だけでなく、原因も考えているでしょうか
外壁にひび割れが見つかったとします。
ひび割れを補修して塗装すればよい場合もありますが、それだけでは済まない場合もあります。
例えば、サイディングが反っているのであれば、なぜ反ってしまったのか。
雨水の影響なのか、施工方法に問題があるのか。あるいは、別の理由があるのか。
原因によって補修方法は変わってきます。
表面を塗装しても、反ってしまった外壁材そのものが元に戻るわけではありませんからね。
大工工事でも同じです。
床がフカフカしているからといって、すぐ上から新しい床材を張ればよいとは限りません。
下地の状態を確認し、必要に応じて補修方法を考えることになります。
住宅リフォームでは傷んでいる部分を見つけることと、
なぜ傷んだのかを調べることは少し違います。
見積りをお願いする時には「どう直すのか」だけでなく、
「なぜその工事が必要なのか」も聞いてみてください。
□修理か交換か。答えが一つとは限りません
設備が古くなった時も、同じようなことが言えます。
例えば、洗面台の水栓から水が漏れている場合です。
水栓の部品交換で直せるのであれば洗面台全体を交換する必要はないかもしれません。
一方、
洗面台の収納部分まで傷んでいて、ほかの設備にも不具合が出ているのであれば、
交換も検討した方がよいでしょう。
ここで考える必要があるのは今回の修理費用だけではありません。
部品が手に入るのか。
修理後も使い続けられそうなのか。
これからの暮らしに今の設備が合っているのか。
そうした条件によって、よい選択は変わってきます。
必ず修理した方がよいとも、古いから交換した方がよいとも、一概には言えないんですね。
複数の方法が考えられる場合には、
それぞれの工事内容と費用、今後の使い方について説明を受けてみてください。
そうするとご家族に合った工事を選びやすくなります。
複数の会社から提案を受けた時の見積書の比較方法については「3社の見積書、どこを見る?」でも詳しく紹介しています。
□工事を始めてから分かることもあります
住宅リフォームで少し難しいのが、壁や床の中など工事前には確認できない部分があることです。
例えば、浴室を解体してみたところ、想定していなかった下地の傷みが見つかることがあります。
そうなると予定していた工事だけで進められるのか、
補修を追加した方がよいのかを判断することになります。
ただ、ここで注意して頂きたいのは、
工事前から確認できることと解体しなければ分からないことを区別することです。
現地調査をどれだけ丁寧に行っても壁の中まで全部分かるわけではありません。
ですから、分からない部分があるのであれば、そのことを事前に説明してもらう。
そして、追加工事が必要になった場合には
工事内容や費用、工程について説明を受け、納得したうえで進めてもらう。
その確認も会社選びでは重要になります。
□工事が終わった後のことも、少し考えてみてください
リフォームは工事が完成すればひとまず一区切りです。
ただ、住宅はその後も使い続けていきます。
設備が故障することもありますし、工事した部分について気になることが出てくる場合もあります。
以前、取り付けてから3年ほどの給湯器が水漏れを起こし、
メーカーとお客様の間に入って対応したことがありました。
メーカーからは保証対象外との説明を受けましたが、
お客様にとってはわずか数年で故障したことに納得しにくい状況でした。
使用状況やメーカーの見解を確認し
交換する際の費用負担も含めて対応方法を考えることになりました。
こうしたことは工事をしている時には想像しにくいかもしれません。
ただ、完成後に問題が起きた場合、
どこへ連絡すればよいのか、誰が状況を確認してくれるのかは
工事を頼む前に知っておきたいことです。
保証期間の長さだけでなく、
保証の対象範囲や連絡先、対応の進め方も確認しておくとよいでしょう。
工事を担当する人や完成後の相談先については「この人たちに家を預けたいと思えるか」でも取り上げています。
□まとめ|工事の理由を説明してくれる会社を選びたい
リフォーム会社を選ぶための情報は以前に比べてずいぶん集めやすくなりました。
施工写真、口コミ、見積金額。それぞれ参考になるものです。
ただ、それらを比べる時には、もう一つ見て頂きたいことがあります。
その会社が今ある住宅をどのように調べ、なぜその工事が必要だと考えたのかということです。
建物の状態によって工事の方法は変わりますし、解体して初めて分かることもあります。
だからこそ、分かっていることはきちんと説明し、
まだ分からないことについてもその後どう確認するのかを伝えてくれる会社であれば
工事内容を理解しやすくなります。
最初からすべてを理解する必要はありません。
気になることを質問し、その答えを聞きながら少しずつ納得して工事を決めていく。
リフォーム会社選びはそんな進め方でよいのではないでしょうか。






