執筆・監修:漆﨑隆一
一級建築士/住宅リフォームの実務家
『住まいのリフォーム完全ガイド Q&A108選』著者
お風呂の寒さが気になる。
外壁や屋根の傷みが見えてきた。
給湯器や水まわりも、そろそろ年数が経っている。
実家をこれからどうするか考え始めた。
住まいに気になることが出てきても、初めてのリフォームでは、何から始めればよいのか分からないのが自然です。
最初から商品や正確な予算を決める必要はありません。
まず、次の3つから始めてください。
初めてのリフォームで最初に行う3つのこと
1.暮らしの中で困っていることを整理する
2.今の住まいの状態を確認する
3.工事を「今必要」「数年以内」「今は待てる」に分ける
この順番が分かると、ご家族に合った工事内容と予算を考えやすくなります。

1.工事する場所より、暮らしの困りごとを整理しましょう
リフォームを考えると、キッチンやお風呂、塗料などの商品を先に調べたくなるものです。
もちろん、商品を知ることも大切です。
ただし、最初に整理したいのは商品名ではなく、今の暮らしで何に困っているかです。
例えば、
- 「お風呂を新しくしたい」
→ 冬の寒さを改善したい、掃除を楽にしたい - 「キッチンを替えたい」
→ 収納を増やしたい、家族と話しながら料理をしたい - 「外壁を塗りたい」
→ ひび割れが心配、住まいを長く守りたい - 「実家を直したい」
→ 段差や寒さを改善し、これからも安心して暮らしたい
というように、工事の場所ではなく、その先にある希望を言葉にしてみてください。
同じ浴室リフォームでも、寒さを改善したい方と、掃除の負担を減らしたい方では、必要な工事が変わります。
リフォームの目的は、商品を交換することではありません。
毎日の暮らしを、今より安心で使いやすいものに整えることです。

2.今の住まいと、これからの暮らしを一緒に確認します
次に、住まいの状態を確認します。
外壁のひび割れ、床のきしみ、水まわりの使いにくさ、冬の寒さ、収納不足など、気になる部分を書き出してみましょう。
同時に、これからの暮らしも考えます。
- この家に、これから何年くらい住みたいか
- 家族構成が変わる予定はあるか
- 親との同居や介護を考える可能性はあるか
- 子どもの独立後、部屋の使い方が変わるか
- 実家を誰が、どのように使っていくか
- 中古住宅を、どこまで整えたいか
今だけを見れば設備の交換だけでよくても、数年後に水まわり全体を直す予定があるなら、今回は必要な補修だけにする方法もあります。
反対に、親世代との同居を考えているなら、段差、浴室、トイレ、動線を早めに整えることで、これからの暮らしが楽になることもあります。
今の住まいの状態と、家族のこれから。
この二つを一緒に考えることで、本当に必要なリフォームが見えやすくなります。
3.工事を3つの時期に分けましょう
住まいの気になる部分を、すべて一度に工事する必要はありません。
次の3つに分けて整理します。

今、確認したいこと
雨漏り、水漏れ、床の沈み、屋根材の破損、大きなひび割れなどは、状態を早めに確認したい部分です。
すぐに大規模な工事が必要とは限りません。
まず原因と影響範囲を確認し、必要な対応を考えます。
数年以内に計画したいこと
外壁、屋根、給湯器、水まわり、窓、断熱などは、現在の状態と使用年数を見ながら計画しておくと安心です。
早めに状態を知っておけば、
- 予算を準備する
- 商品や工法を比較する
- ほかの工事とまとめる
- 暮らしやすい時期を選ぶ
といった準備ができます。
今は待てること
問題なく使えている設備や、暮らしに大きな支障がない内装などは、今後の計画として考えられる場合があります。
見た目を整え、気持ちよく暮らすことも大切なリフォームの目的です。
そのうえで、今回行うことと将来行うことを分ければ、予算を使う順番も決めやすくなります。
福井の住まいで確認しておきたいこと
福井でリフォームを考える場合は、寒さ、結露、雪、雨の影響も見ておきたいところです。
冬の寒さと結露
浴室や脱衣所が寒い場合は、設備だけでなく、窓、床、断熱、換気を一緒に見ることで、より暮らしに合った方法が見つかります。
雪や雨のあとの外回り
雪や強い雨のあとは、雨樋、外壁、屋根、ベランダ周辺に変化が見られることがあります。
屋根へご自身で上がる必要はありません。
地上から見える範囲で気になる部分があれば、写真を撮っておくと相談しやすくなります。

実家や中古住宅
実家は、古い部分をすべて新しくするのではなく、思い出を残しながら、寒さ、段差、水まわり、雨漏りなど、これから必要な部分を整えていきます。
中古住宅も、購入直後にすべてを完成させる必要はありません。
- 入居前に行いたい工事
- 数年以内に考えたい工事
- 暮らしながら決められる工事
に分けると、無理のない計画を立てやすくなります。
予算は総額より、優先順位から考えましょう
初めての相談時に、正確な予算が決まっていなくても問題ありません。
まず、希望することを次の3つに分けてみてください。
- 今回、必ず行いたいこと
- できれば一緒に行いたいこと
- 将来、時期を見て考えたいこと
この優先順位が分かれば、限られた予算の中でも大切な部分から計画できます。
補助金や値引きも、必要な工事を行う際に活用できれば有効です。
制度を先に探すのではなく、まず必要な工事を整理し、その工事に使える制度があれば活用する、という順番で考えましょう。
相談前に準備しておきたい5つのこと
専門家へ上手に説明する必要はありません。
次の5つが分かるだけでも、相談を進めやすくなります。
- 気になっている場所の写真
- いつ頃から気になっているか
- 暮らしの中で困っていること
- これまでに行った修理や設備交換
- 今回行いたいことと、おおよその時期・予算
「冬のお風呂が寒い」
「外壁のひびが気になる」
「実家をこれからどう使うか相談したい」
そのままの言葉で大丈夫です。
住まいを確認しながら、今必要なこと、将来考えること、家族で決めることを一緒に整理するために、相談の場があります。
まとめ|3つの順番が分かれば、リフォームは進めやすくなります
初めてのリフォームは、商品や見積金額を決めることから始める必要はありません。
最初に行うことは、次の3つです。
1.暮らしの困りごとを整理する
2.住まいの状態を確認する
3.「今必要」「数年以内」「今は待てる」に分ける
この順番で考えると、ご家族に必要な工事、予算をかけたい部分、相談する内容が整理しやすくなります。
住まいは、家族の毎日の暮らしを支える場所です。
一度にすべてを決めるのではなく、ご自身の住まいとこれからの暮らしに合った順番を見つけていきましょう。








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